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麻薬戦争と若者ーOD・薬物にNOかOKか<月刊『地平』10月号に寄稿しました>

    9月5日に発売になりました月刊『地平』10月号に記事を寄稿しました。10月号の特集のひとつが「子どもたちの逃走と闘争」。

    “子どものほうに原因を求めるのではなく、みつめるべき、変わるべきは大人や社会の側ではないだろうか。子どもは何も言わないのではない。社会から逃走しながら、状況と闘争している。子どもに対してどのように伴走できるのか、子どものたちの闘いと、それを支える取り組みから考える。”(特集の見出し文を編集)

    このテーマでの原稿執筆の声をかけていただき、光栄に思いながら同時に迷いました。メディアから依頼があると、そのほとんどが、ODや薬物使用がどれだけ危ないのか、どうしてしてしまうのか、どうしたらやめさせられるのか、そのような思いを持つことは理解できつつも、そうした依頼にこれまでほとんど応えることができずにいました。

    ただ今回の依頼はそうした文脈ではなく、ハームリダクションで、というものでした。”子ども”をテーマにするということはつまり、大人・社会側の問題という切り口になることが、社会運動としてのハームリダクションに重なると思えました。ハームリダクションの理念や実践をいまの日本社会で伝えていくことの難しさを痛感していますが、出版社の方と何度もやりとりを重ねながら、書き上げることができました。

    当たり前に暮らしているこの社会ですけれど、日本でもいわゆる麻薬戦争はずっと繰り広げられています。それにより命を落とす人たち(当事者や身近な人たち)がいます。タイトルに含めた「薬物にNO」は、麻薬戦争につながっています。「OK」は、今回のテーマに寄せると逃走・闘争がOKということになります。薬物を使用したり、オーバードーズをしたりすることがある子ども・若者のシェルター(避難所)として、ハームリダクション東京のOKチャットがどのようにはじまり、どのように実践しているか、僭越ながらまとめました。

    月刊『地平』は今年の6月に創刊したばかりの新しい雑誌です。魅力的な、興味深い記事に溢れていました。ただその創刊号のなかに、市販薬ODに関する記事があり、それは私たちハームリダクションの立場からは残念に感じるものでした。今回の執筆にあたり、そのことも率直に話し合うことができましたし、私の記事のなかでもひと段落そのことに触れています。その文章を掲載してくださった地平社の真摯さに、敬服する思いになりました。

    少しでも多くの方に手にしていただけたら幸いです。

    (ハームリダクション東京 古藤吾郎)