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❶ ドラッグを使っていいの?ダメなの?

    ドラッグ使っていいの?ダメなの?

    だめでしょ。ダメ。ゼッタイ。

    けど、使ってる人、普通にいるよね?

    いるよね。けど悪いことでしょ。逮捕されたりしてるじゃん。

    犯罪だからね。

    そう。人の物を盗んだりするのと同じ。悪いことでしょ。

    盗むのはダメでしょ。

    人を殴ったり、脅したりするのだって。

    もちろん、ダメ。ゼッタイ。

    痴漢とかだって。

    最悪だね。

    けど、ドラッグも同じ?

    誰かに悪いことしてる?

    テレビとかで見るじゃん。ドラッグ使って、暴れて殴ったみたいなの。

    酔っ払いみたいな感じ?

    けど、それは人を殴っちゃってるもん。

    殴ってなければ、誰にも悪いことしてなくない?

    そうだよね…
    あ、わかった。自分に悪いことをしたってことじゃない?

    ドラッグは毒みたいなものだし。自分を傷つけてることにならない?

    自分を傷つけてる…
    じゃ、リストカットとかも悪いってこと?

    タトゥーやピアスだって、自分の体に針刺したり、穴あけたりするよね。

    自分の体にすることで良いとか悪いとかって、誰がどう決めるの?

    確かに…

    そういうのを悪いって言うのはまちがってる感じがする。
    けど、ドラッグの場合は依存したりして、体に悪そうじゃない?

    お酒やたばこだって、依存したり病気になる人いるよね

    それに、体に超悪い毒を飲んだって、別に犯罪にはならないでしょ。

    どれも体に悪い感じだけど。

    ドラッグだと、ものすごい悪いことみたいになるよね。何で?

    んー…

    体に悪いかも、っていうことは何となくわかるけど、だからってどうして犯罪になるのかな。

    ちゃんとした説明、聞いたことないかも。

    「薬物は体に悪い=犯罪」はちょっとよくわからない

    薬物が体や気分にどのような効果があったり影響を与えるかということは、学校などの薬物教育のなかにそれなりに組み込まれているのでしょう。しかしながら、体に悪いからって、どうして重い犯罪になるのか、ということに対してきちんと説明されることはまずありません。

    これは日本だけの話ではなく、世界中でスッキリする説明を聞いたことがないです。そして近年、海外では体に悪いとか悪くないということではなく、犯罪とみなすのは良いことではない、と考える国が増えてきています。

    「犯罪」にすることの悪循環(あべこべ)

    日本では、違法な薬物は裏社会の組織のお金になるから、とか他の犯罪行為と結びつきやすいから、と説明されることがあるかもしれません。ただ、これはあべこべだと言えます。つまり、犯罪にしているから裏社会にお金が流れますし、他の犯罪行為と結びつきやすくなるのです。

    そもそも犯罪にしなければそういうことになりません。そんなことを言うと、それなら窃盗や暴力も犯罪にしなければ、となるでしょうか。薬物を犯罪にしなければいいと言えるのは、それが加害行為ではない(被害者がいない)からです。

    実際に、やはり海外では犯罪とみなすことがあべこべだという理解が広がり、犯罪にしないという流れになってきています。ただし、これは薬物に関わるすべてのことではなくて、個人的に使うことや、少ない量を持っていたり譲ったり取り引きした場合です。

    国連の条約と国ごとのルール決め

    薬物に関する国際的な条約があります。そこで処罰できると書かれているので、多くの国で犯罪にして処罰するという取り組みが、何十年も前から始まりました。ただ、どのくらい厳しくするか、どんな処分をするのかは国で決めて良いことなのです。

    たとえば、日本の処罰には死刑がありますが、薬物事件で死刑になることはありません。一方で、アジアを中心に薬物の犯罪で死刑となる国もあります。反対に、薬物は法律違反だけど、少量なら犯罪にしないとか、注意はするけど、刑務所に行くことにはならない、という国もあります。

    ドラッグは「自分の体に入れたら犯罪」の謎

    もう一つポイントがあります。それは、個人が自分の体のなかに何かを入れることについて、他人(社会)がそれを犯罪とみなして、処罰を与えることに対する正当な理由が、よくわからないということです。

    例えば、自発的に強烈な毒を自分で飲み込む、あるいは飲み込もうとしたとします。命にかかわったり、重い後遺症が残るかもしれません。そういうことが避けられたらどれほど良いか、と心から思います。ただし、だからといってそれをとても悪いことだ、犯罪だとみなして、その人を逮捕したり刑務所に入れよう、ということにはまずなりません。そうあって欲しくないです。

    覚せい剤、大麻、さまざまな違法ドラッグと言われるものは、体や気分に何かしら影響を与えます。そしてそれはお酒やたばこ、コーヒーなども同じです。体や気分にさまざまな(良し悪しな)影響を与えるものは世の中にたくさんありますが、ほとんどの物は、それを自分で自分の体の中に入れても罪になりません。

    たとえ命を落としてしまうような猛毒でも、自分の体に入れることが犯罪にはなりません。どうしてある一部の物質に対しては、自分の体に入れることを刑務所に入れるほどの重い犯罪とするのが当たり前だと言えるのでしょうか。

    世界の動きは「犯罪にしない」

    世界の有識者たちから聞いた合理的な回答はこういうものです。

    犯罪にはしない。

    犯罪にはしない(非犯罪化とよく言われます)、というのは合法化とはまったく異なるものです。このウェブサイトのなかでも、非犯罪化と合法化の違いを説明していますので、よろしければそちらもご覧くださいませ。ドラッグには何も問題がない、ということではなく、犯罪とみなすことがかえって問題を悪化させている、ということが実証されてきているのです。

    法律や政策でつらい思いをする人たち

    日本で暮らしていくなかで、日本の法律を守ることはとても大事です。違法行為をして良いという話ではありません。ただ、頭ごなしに法律を守れと言っているだけでは検証することができません。

    法律というのは決して完璧なものではありません。法律を変えてきたさまざまな活動がこれまでにもありました。法律や政策により、差別や偏見に苦しんでいる人たちが増えているとしたら、検証することができるはすです。

    社会の問題。誰でも声をあげられる

    ただそうした法律や政策で苦しんでいる人たち、つまり薬物を使用する人や、家族など身近にいる人たちほど、声をあげることが難しい立場に追いやられていたりします。だから、社会的に有利な立場にいる人たち(ほとんどの人は薬物が身近なことではないかもしれません)が、声をあげていくことが必要なのです。

    ある法律が今の社会を良くすることに本当に役立っているのか、考え、学ぶことはできるはずです。身近にいる人と話してみるのも良いかもしれません。NYANはさまざまなスタイルで、考え、学び、対話する機会をつくれるよう取り組んでいます。ご関心を寄せてくださり、ありがとうございます。

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