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(NYAN式)妄想薬物報道インタビュー:差別と偏見でつらいから…

有名人の逮捕などで薬物報道があるたびに、見たり聞いたりしているのがつらくて、目をそらしたり耳を塞ぎたくなります。
報道されている内容の多くが、科学的・合理的・現実的なものに基づかないものが多くて、差別と偏見が増長し、人権が軽視されていく…と胸が締め付けられる思いになります。
いろんな考え方や意見があるので、なかにはこういうのもあってもいいはず、と妄想することで気持ちを落ち着かせています。

薬物ってどんなものがあるんですか?

覚せい剤、大麻、MDMA、コカイン、ヘロインなど違法とされる薬物、そして処方薬・市販薬です。

処方薬・市販薬と違法の薬物が併用されていることがあります。処方薬・市販薬だけを医療用途を超えて使用している場合もあります。

薬物はどうしたら無くなりますか?

薬物を社会からなくそうとすることは非現実的です。薬物は存在し、人は薬物を使うことがあるという現実のなかで、科学的・合理的な理解が求められます。

〇〇さんは、薬物に依存していたんですか?

ある薬物を使用するからといって、薬物に依存しているとは限りません。その人が依存症という病気である、メンタルヘルスに問題があると他者が決めつけることではありません。本人がどのように捉えているかを尊重します。

止めるためには絶対に治療が必要なんですね?

薬物を繰り返し使用したからといって、依存症の治療や回復を求めなければいけないものではありません。毎日のように使う人もいれば、週に1回、月に1回ということもあります。一度にたくさん使うこともあれば、少量の場合もあります。

薬物を使うと生活がめちゃくちゃになりますよね?

薬物を繰り返し使うことがありながら、仕事をしたり、友だちや同僚、子どもやパートナーをはじめ家族と良好な関係を築いていたり、支障なく暮らしている人たちが多くいます。

もし薬物を常習していたら、どうすればいいですか?

薬物の使用が短期間でも⻑期間でも、治療・回復の支援を必要とすることなく、薬物を使わなくなることも多くあります。

何もしなくていいってことでしょうか?

薬物を使うと低い割合で依存する場合があります。そして依存状態、本人の生活状況及び使用の背景はそれぞれ異なります。誰もが当然に断薬するべきと他者が決めつけ、強要するものではありません。虐待や暴力被害(いじめ・性暴力・DVなど)や障害などによる影響を受け、薬物を使用することで生き延びている人たちもいます。

○○さんも、ご自身の経験として薬物を止めるのがすごく大変だったと話していますけれど?

ある薬物を使用して苦しんだ、そして断薬したという個人の話は、一個人の貴重な体験であり、それに基づく貴重な感想・意見です。ただし、個人のエピソードを、すべての場合に該当させるような捉え方は科学的・合理的なものではありません。一方で、当事者の固有の経験等を集約し研究素材とすることは、役立つものになります。

○○さんも、ご自身のことをメディアで話すことが役立ちますね。

個人の薬物使用などプライベートな話を公開するように他者が押し付けたりすることがあってはなりません。本人の選択を尊重します。

○○さんは、がんばって止めていたみたいですけど、それでも使ってしまった。止めるのはそれだけ難しいのでしょうか?

暮らしのうえで誰かが薬物を使うことがあってもおかしくありません。そして断薬をすることはあくまでひとつのあり様です。断薬を当然の成功とみなすことは、断薬を目指す人への励ましだけではなく、薬物使用が失敗であるという偏った理解を拡散させ、本人や周囲の人を追い詰め、苦しめる効果・影響をもたらします。

違法薬物は絶対に許されることではないですよね?

薬物使用は犯罪だ/断薬が当然の成功だとする分断的な取り組みにより、薬物使用で困っている本人と家族など身近にいる人たち(未成年の子どもたちも薬物を使うことがあります)は、ますます誰かに相談したり、支援を求めたりすることができなくなります。薬物使用がある人とその身近にいる人たちの尊厳と権利を守り、誰でも安心して相談できる環境づくりが求められます。

海外ではOKでも、それをきっかけに他の薬物も使うようになったりするんですよね?

薬物は恐ろしい、一度でも使ったら人生台無し、とは科学的な事実ではないうえ、そうした取り組みは抑止力になりません。厳罰で薬物問題が改善されたと実証する信頼できるエビデンスが語られることはありません。むしろ、厳罰により薬物問題が悪化してきたことがエビデンスとともに指摘されています。司法ではなく、かつ依存症・精神科医療に狭めず、ヘルスケア分野の話題として取り扱われることが適切と言えます。

芸能界の薬物汚染は深刻ですね。一斉に取り締まるにはどうすればいいでしょうか?

薬物を怖いものとし取締りを厳しくすることで、薬物使用は地下に潜み、地下にある薬物市場は発展しています。少量の薬物に係る犯罪は、ルール違反であったとしても被害者はいません。微罪とする、犯罪としない、規制許認可するなどさまざまな効果的な取り組み方があります。

逮捕をきっかけにきちんと更生してほしいものですね。

少量の薬物に係る犯罪に対して、処罰を与え治療を強要することは、人権の軽視を招き費用対効果は低く、再犯防止効果も実証されていません。再犯防止効果が実証されている支援は、依存症と決めつけず、そして薬物使用の有無ではなく、生活状況や健康上の困りごとに着目するものです。そうした支援が地域で当たり前のように展開される必要があります。

以上、元麻薬取締官の○○さんからの解説VTRでした。やはり薬物は恐ろしいですね。

報道などにおける取締り機関や弁護士などの司法、医療従事者、経験者、タレントをはじめとする人物の発言は、科学的な根拠に基づかない限り、個人的な意見や感想であり、非科学的で無理解や偏見に基づいた内容が含まれている可能性があります。差別・偏見を増長するのではなく、なくなるような配慮が求められます。

では、どうしたらいいのでしょうか。

軽微な薬物事件を犯した人の尊厳・業績などを貶めることをせず、現実的・科学的・合理的な理解に基づく情報発信が、社会全体の薬物問題の改善に貢献するものと考えます。

わたしたちが今できることを、こちらに書いています

この記事の内容をまとめたものが、「薬物使用に対する現実的・科学的・合理的な理解に基づく情報発信を(第2版)」です。よろしければご活用くださいませ。こちらからPDFファイルをダウンロードできます。

薬物使用に対する現実的・科学的・合理的な理解に基づく情報発信を
NYAN|日本薬物政策アドボカシーネットワーク